ホルモンは体の他の部分(標的器官)の働きに影響を与える化学物質です。ホルモンはメッセンジャーとして働き、体のそれぞれの部位の活動を制御し、協調させます。
ホルモンは全身の器官の機能を制御し、成長や発達、生殖、性徴などのさまざまな過程に影響します。ホルモンは体がエネルギーを消費し、貯える方法にも影響を及ぼし、血液量、血液中の塩分や糖分の濃度をコントロールします。ホルモンはごく微量でも非常に強い効果があります。
その中の二種類のホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)は卵巣から分泌されるのですが、このホルモンの分泌は排卵と密接な関係があります。
加齢とともに減少するエストロゲンの影響は、月経周期や月経量に現れるように体にも不調となって現れます。
この他、卵巣の働きがもともとあまり良くない、間脳や脳下垂体の働きがもともとあまり良くない、過度のダイエットをしたことにより間脳の調節機構が低下してしまった、LHやFSH(卵巣を刺激するホルモンです)の分泌に支障を来すホルモン異常がある(高プロラクチン血症、甲状腺機能異常など)などといった病態が原因の場合でも「ホルモンバランスが崩れている」状態であることには違いはありません。
エストロゲンの血中濃度は、30代以降から減少を続け、60代で6分の1にまで減ります。
女性ホルモンのひとつ、エストロゲンは、女性らしさを作るだけでなく、健康な体を保つのに重要な働きをしています。
① 生活習慣病を引き起こす内臓脂肪の蓄積を押さえます。
② 血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やします。
③ 血管を拡げて高血圧を防ぎます。
④ 神経細胞を保護し、細胞死を防ぐ働きを持っているので、認知症にもなりにくい。
⑤ 月経も女性の体を護っています。血液に含まれる鉄分は、多すぎると活性酸素を発生しやすくなり癌や老化の原因となります。毎月の月経で鉄分を排出することで、活性酸素を抑えています。
エストロゲンが減少すると、カルシウムが血中に溶けだし、やがて骨にスが入る骨粗しょう症になる人が増えます。
また、年齢とともに基礎代謝も低下しています。からだが必要とするエネルギー量は減少するので、肥満傾向になる人が増えます。「摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る」これが肥満の原因です。
エストロゲンは血管内皮細胞を保護していますが、柔らかかった血管がエストロゲンの減少によって硬くなると、血圧が上がりやすくなり、それが常態になると高血圧とされます。高血圧は血管を傷め、動脈硬化を助長し、更年期以降に著しく進行します。
女性の成人病発生時期が男性より遅く、また女性が男性より長生きなのは女性ホルモンによって守られているからと言えます。
◆ 血行不良・低体温
血の巡りが悪いことが更年期の症状である「冷え」「肩こり」「動悸」「のぼせ」などを招いたり、さらに悪化させたりしている可能性が考えられます。また、血液の流れが滞ると、血液と共に運ばれていた酸素や栄養分、ホルモンまでもが全身に行き渡らなくなってしまって、あらゆる内蔵の働きを低下させる原因につながってしまいます。特に、子宮や卵巣へ十分な血液が行き渡らなくなると、ホルモンバランスが崩れやすくなってしまうと言われます。女性ホルモンの状態をできるだけ安定させるためにも、全身にくまなく血が巡る体を目指しましょう。
◆ 神経系の不調
過度のストレスなどから自律神経のバランスが乱れていると「頭重」「めまい」「不眠」「耳鳴り」「不安感」「イライラ」などの症状があらわれたり、さらに悪化させてしまったりする可能性が考えられます。また、自律神経の乱れはホルモンの分泌にも影響を与え、ホルモンバランスを崩す原因にもつながってしまいます。
◆ 泌尿器系の不調
腎臓・膀胱などの泌尿器系の働きが弱いことが「尿もれ」「頻尿」「排尿痛」などを招いたり、さらに悪化させたりしている可能性が考えられます。
◆ 運動器官の不調
筋肉・骨・関節などの運動器官が弱いことが更年期の症状である「腰痛」「肩こり」「関節痛」などを招いたり、さらに悪化させたりしている可能性が考えられます。
◆ 消化器系の不調
胃・小腸・大腸などの消化器系の働きが弱いことが更年期の症状である「吐き気」「食欲不振」「下痢」「便秘」などを招いたり、さらに悪化させたりしている可能性が考えられます。消化器系がうまく働いていない場合、栄養素がうまく吸収されず体内がエネルギー不足の状態になってしまいます。その結果、内蔵が活発に働くことができなくなり、さまざまな不調やホルモン分泌の異常を招くことがあります。
他にも、皮膚分泌系・生殖器系・知覚系などの不調が、更年期障害があらわれる原因につながっている場合があります。